お客様に遊んでいただいて、私も遊ばせていただけたら、これは、もう無上の口福です。

余程のことがない限り、寿司ネタや鮮魚というのは知られています。
ですから、私どもの力の出しどころは、料理方法に限られるといってもよいかもしれません。
しかも、素材が魚介類ですから、ありきたりの仕事ではお客様の冒険心を裏切ってしまいます。

たとえば、刺身にするか、焼くか、煮るか、和えるか、サラダにするか、添えるのは醤油か、三杯酢か、梅肉か、それとも酢味噌か。
ひとつの素材が持ち合せたいろいろな味わいを、
どう引き出すか、調味するか。
じつに創造力と想像力が求められる遊びです。

そんな遊び心をたっぷり盛った料理と、
吟味した各地の地酒とが、お客様の遊び心の
琴線に触れたら、これはもう無上の幸せです。
ひととき、わがままな料理人のお遊びに
おつきあいくださいませ。

誠太郎 亭主口上